現役産科医の視点

生命誕生の現場、産科医の視点から

「できちゃった婚」は生物学的に正しい

できちゃった婚の妊婦さんは、私が勤務する病院でも珍しくありません。妊娠に至る経緯や、妊娠が分かってからの人間模様はいろいろですが、ネガティブな印象を持つ方は減っています。“順番が違う”とか気にする人もあまりいません。むしろ、意図的に狙ったんだろうなと思う妊婦さんが、いい感じの男を連れて健診にやってきたりすると、思わず心の中で「よくやった!」と応援したくなります。ちなみに、いい感じの男というのは、単なる見た目ではなく人の雰囲気です。

今、日本では決断できない男が増えていますが、本来、生物学的に相手を決めるのは女です。クジャクの羽根、鹿の角、極楽鳥の求愛ダンスのように、メスが“いいな”と感じるオスを選んで妊娠し、夫婦になります。できちゃた婚こそ正しい順番とも言えます。 「人間を動物と一緒にするな、人間は社会的な高等動物だ」との意見もあるかもしれませんが、“人間は万物の霊長である”という認識は、もはや崩れています。もしかしたら、地球家族の中で人類は、調和を乱す、手に負えないやくざな生物種かもしれません。

子孫を残す権利は国家が保証する。これこそが将来への安心を醸成し、不安を軽減させます。これは公共事業福祉事業よりも本質的に優先するべき問題です。今、検討されている少子化対策は、確かに現実的な政策ですが、本当に必要なのは、女性が1人目を生物学的に適した時期に安心して産むことのできる社会です。今の時代の価値観や既存の道徳観にとらわれるなら、結局、日本の少子化は解決しないでしょう。 

人生の選択には旬の時期があります。その選択が正解であったかどうかは、社会や他人が判断するのではなく、その後の人生で、自分が決めるものです。 できちゃった婚も、この時代に適応した生物学的に正しい選択の1つとして、ポジティブに認識する事が必要です。