タレントの眞鍋かをりさんが、雑誌「FRaU (フラウ) 2014年 11月号」で、「女らしい筋肉」をテーマに、肉体改造にチャレンジして、その成果を披露していました。
当時、ご本人がラジオ番組でその経過を話していて、「現在、体脂肪率が14%台で……」と少し自慢げだったのを聞いて、“それは、ちょっと、まずい”、と思ったのですが、しばらくして、同じ番組の中で「女性は体脂肪が減りすぎると良くないと聞いて、気をつけている」とコメントし直していました。その後、真鍋さんは、めでたく結婚、出産されたのですが、
女性は体脂肪率が18%を切ると女性ホルモンも減少し、無月経になる人が増えます。私が勤務する病院の周りには、有名マンモス私大を含む数校の大学があって、全国大会レベルの体育会系学生が無月経などの相談で受診します。最近は良い指導者も増えてきましたが、今でも、
「アスリートは生理が止まって一人前」
「生理が止まったら貧血にならないから良い」
「大会の日に月経が重ならなくてすむ」
など、とんでもない話に驚きます。
体重別競技である女子柔道選手の調査によると、減量経験のある選手の54.3%が月経が止まることがあると答えたとのことです。
「女子柔道選手の減量と月経の関係」:渡辺他、武道学研究2012
一時的であっても、無月経になるということは、妊娠できない身体になるということです。この無月経が続くと、骨が弱くなり疲労骨折を起こしやすくなります。つまり最悪の場合、アスリート生命を絶たれ、将来、子供を望めない身体になってしまう恐れがあります。
人間は1日に摂取したカロリーの内、その日に消費できなかったエネルギーを脂肪に変えて保存します。通常、女性は体脂肪として、最低必要エネルギーを2ヶ月分蓄えており、水があれば女性は2ヶ月生き延びることができます。悪者にされがちな体脂肪ですが、実は、人類が厳しい気候の中を生き残ることができたのは、女性がこの脂肪を維持してきたおかげといえます。男性は越冬できなくても、子孫を残すために、女性が体脂肪率18%以上(理想は20~25%)をキープすることは重要なのです。
雑誌「FRaU (フラウ)」に表紙に「欲しいのは、女らしい筋肉」とありますが、実は、女らしい筋肉がついている人は服を脱がなくても判ります。水着やヌードになって筋肉美を見せなくても、体幹の筋肉がバランス良く備わっておれば、身のこなしの美しさ、無駄のない所作、街を歩く姿に表れます。
男がクール・ストラッティンのアルバムジャケットに惹かれる理由をぜひ理解して欲しいものです。