NHK大河ドラマ「真田丸」 第36回「勝負」の関ヶ原の戦いが話題です。
大河ドラマの関ヶ原の戦いらしい、大掛かりな合戦シーンかと思いきや、宴席に現れた佐助(藤井隆)の報告だけで済ませてしまう潔さ。本能寺の変の大胆な省略にも驚きましたが、当時の情報伝達手段を考えれば、むしろ、リアリティーを感じます。
一方、真田昌幸(草刈正雄)、信幸(大泉洋)、信繁(堺雅人)の犬伏の別れの一幕には、たっぷりと時間がかけられ、メリハリの効いた素晴らしい作品です。
誰が滅び、誰が生き残るか、誰にも予見することができない戦国時代、中流の領主「真田家」がいかにして生き延びていくのか?
北条家の滅亡や、聚楽第の落書き事件、豊臣秀次の妻子侍女の処刑など、凄惨な話に対比させながら、丁寧に描かれているのは家族愛。
時代が違っても、人間の本質は変わらない、三谷さんの家族愛とは?
以下は、真田信繁、真田信之、豊臣秀吉、徳川家康の正室、側室一覧です。
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◆真田信繁 (堺雅人)
・きり (長澤まさみ)
・梅 (黒木華)
・春 (松岡茉優)正室
・たか (岸井ゆきの)側室
◆真田信之 (大泉洋)
・稲 (吉田羊) 正室
・こう (長野里美)前妻
◆豊臣秀吉 (小日向文世)
・寧 (鈴木京香)正室
・茶々 (竹内結子)側室
◆徳川家康 (内野聖陽)
・旭 (清水ミチコ)正室
・阿茶局(斉藤由貴)側室
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正室と側室の配役には、いずれも役者として納得できる見せ場があります。
正室と側室のドラマは、嫉妬と対立を描くのが常套ですが、きり(長澤まさみ)と梅(黒木華)の場面でも、嫉妬するのかな? と思わせて肩すかしの展開。
稲とこう、寧と茶々、旭と阿茶局の場面も印象的で、いずれも正室と側室が共に主人を支えます。
三谷さんは大河ドラマの登場人物になりきって作品を描いており、中でも、小日向さんが演じる秀吉は、策略に富んだ知将秀吉、子供のように無邪気な秀吉、冷徹で残酷な秀吉、そして、50歳を過ぎて初めて子供を授かる秀吉、いずれも作者三谷さんそのものです。
寧に甘える秀吉、茶々への恋と嫉妬には、子供じみた願望と判った上で、三谷さんの前妻小林聡美さん、今の奥さん、お二人への想いが表れているかのようです。
当時、女性だけが特に抑圧されていたわけではなく、正室と側室が共に主人を支えるのは、選ばれた女性にとって最も賢い家族愛の姿だったのだろうと思います。
平和な時代を謳歌してきた日本では、子孫を残す、一族を守る、家族を守ることへの本能的な気迫に欠けていますが、いずれ再びそのような社会になる可能性はあると思います。
大河ドラマ「真田丸」はいよいよ佳境に入り、歴史の大渦の中、信繁の家族愛、正妻の春(松岡美優)ときり(長澤まさみ)を巡る話などがどう描かれるのか、とても楽しみです