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現役産科医の視点

生命誕生の現場、産科医の視点から

食の考察 「サプリメントとがん」

生活習慣と”がん”の予防について、世界がん研究基金から
「食物、栄養、身体活動とがん予防の要約」
の勧告が出されています。その勧告8では、

◆食事のサプリメントについて
サプリメントに頼らず、食事のみから必要な栄養をとること」

◆行政に対する公衆衛生上の目標
サプリメントではなく、食事から必要な栄養素を十分に摂取できる人を増やすこと」

◆個人に対する勧告
「食事サプリメントは、がんの予防に関しては勧められない」
注)病気や、栄養が不十分な時には、サプリメントが役に立つ場合もあります

【以上の理由】

「信頼できる研究報告によると、多量のサプリメントは、がんの予防になる場合もあれば、がんを引き起こす可能性もある。リスクが高くなるか低くなるか、正確には予測できず、予想もしない健康への悪影響を起こす可能性があるので、一般の人々に広くサプリメントを勧めるわけにはいかない。特定の疾患や欠乏症の場合を除き、最善の方法は、多種類の栄養素を含んだ栄養豊富な食事を取ることである。」

-要約ー となっています。

 

◆栄養豊富な食事とは?

食物連鎖の頂点に立つヒトにとって、栄養豊富な食事とは、多種類の栄養素が必然的関係を保っている健康な有機体をいただくということです。その土地の環境や季節に適応した、健康な生物(有機体)が、最も適した食事です。すべての栄養素は有機的に連携しており、どれかが減少したり、増加したりすれば、バランスは崩れます。

【有機的】
「有機体のように、多くの部分が集まって1個の物を作り、その各部分の間に緊密な統一があって、部分と全体とが必然的関係を有しているさま(広辞苑)」

 

人間にとっては、食の楽しみも大事ですから、必然性だけで食事を考えることはできませんが、美食の食材、例えば、フォアグラやあん肝は脂肪肝、さしの入った牛肉やマグロの大トロは高脂肪体、甘い果物は植物の糖尿病の状態です。決して、健康な有機体ではありません。それを食べるのにふさわしい季節があるとしても、日常的に年中、食べてよい食材ではありません。

 

◆食事サプリメント
サプリメントも、ある栄養素が欠乏状態の時には有用ですが、その栄養素が必然性もなく過剰になった場合には、程度の差はあっても、必ず有機体の統一が崩れます。
サプリメントの研究では、ある特定の栄養素を分析して「○○という成分が××に効く」と単純化された結論が独り歩きしがちです。ほとんどの研究では、栄養素が過剰の場合や、複数の栄養素の相互作用、想定外の作用についての検討は不十分で、中には意図的な成果を出すための、詐欺的な研究もあります。