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現役産科医の視点

生命誕生の現場、産科医の視点から

健康に良い食事「地中海料理」と「和食」の真実

「世界中で、一番、健康に良い食事は?」と聞かれると、日本人の多くは、
「そりゃ、和食だろ。世界無形文化遺産にも登録されて、まちがいない」と答えるかもしれません。
ところが実は、日本以外の世界標準の栄養学、医学の答えは「地中海料理」です。
地中海料理(地中海式ダイエット)は2010年11月、フランス美食術、メキシコ伝統料理とともに、ユネスコ世界無形文化遺産に登録されました。「地中海式ダイエット・栄養学のモデル」と呼ばれています。この場合のダイエットは、元々の意味である料理や食物のことを指しており、減量目的のダイエットではありません。

地中海料理の概念】
穀類、魚類、その保全・加工・消費に関わる風景から食事に至る技術、知識、習慣および、伝統に基づく社会的慣習。魚介類、穀類、乳製品、野菜、果物類などをバランスよく、脂肪分は肉類を少々、オリーブオイルを中心に摂取する。
地中海料理には、地域社会の健康や、生活の質、より良い生活に役立つこと、少量のワインを飲みつつ、ゆっくりと会話をしながら食事をするスタイルを含む。

地中海料理についてー
スペイン・イタリア・ギリシャ・モロッコなどの地中海沿岸では、昔から心筋梗塞、脳血管障害、糖尿病などの生活習慣病が少ないとされ、この地域の伝統的な食事が影響していると考えられてきました。

地域で取れる様々な食材、加工、流通、伝統的な調理法、食を中心とする生活習慣、市場に並ぶ採れたての魚介類、山積みのオリーブの実やトマト、焼きたてのパンなどの風景、大皿に盛られた料理を、少量のワインを飲みつつ、ゆっくりと語らいながら食べる様子など、すべてを含んで「地中海料理」です。
 

一方、和食は遅れて2013年に「和食 日本人の伝統的な食文化」として、世界無形文化遺産に登録されました。

【和食の特色】

 ・四季や地理的多様性による新鮮な山海の幸
 ・自然の美しさを表した盛り付け
 ・正月や田植えなどとの密接な関係

四季の豊かな自然に恵まれ、地域の野菜や魚介肉類をいただく「和食」はバランスのとれた豊かな食事ですが、ここで示される日本の食文化は、すでに失われつつあります。

厚生労働省農林水産省が作成した「食事バランスガイド」も、栄養学的な分析から、この成分がこの割合で含まれなければいけないと、食事の因数分解のようで・・・、美味しそうではありません。「地中海料理」のような、地中海沿岸の日常生活に溶け込んだ食文化の美しさがないのです。

無形文化遺産「和食」は高級料亭の食事ではなく、地域の伝統的な家庭料理を中心に、自然の恵み(八百万の神)に感謝しながらいただく、食生活習慣です。この「和食」文化は、今、誇れるどころか、守れるかどうかの危機にあります。

日本は、ファストフードの普及、食事サプリメント、栄養補助食品の認定など、まるで家畜の飼育のような食生活を受け入れるのでしょうか?