現役産科医の視点

生命誕生の現場、産科医の視点から

胎動カウントの勧め

分娩予定日が近づき、期待と不安が高まる時期に、お腹の赤ちゃんの心臓が突然止まる、つまり、赤ちゃんが突然亡くなることは、妊婦1000人のうち1~2人の率で起こります。

今年のテレビドラマ「コウノドリ2017」第5話でも、妊娠中の胎児突然死(子宮内胎児死亡)の場面があり、この番組を見ていた妊婦の中には、かなり不安になった方もおられました。

    胎動が心配……

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この妊娠後半期の、胎児突然死を少しでも予防する方法の一つとして、胎動カウントがあります。海外では、臨床的に有意義な方法として推奨されています。

日本で胎動カウントを本格的に取り入れている施設は少数ですが、私が勤務する病院では多くの経験から、胎動カウントが有用であると判断して継続しています。

 

まずは、アメリカ妊娠協会の「キックカウント」の翻訳を紹介します。

(以下は筆者が、個人的な目的で翻訳したものです。必要な方は本文をご確認ください)

キックカウント(胎動カウント)

(アメリカで胎動の一般的表現はキックですが、キック以外の胎動も数えます。日本でも”赤ちゃんが蹴った”と表現しますが、”蹴ったカウント”ではおかしいので、医学的には胎動カウントといいます。以下訳、胎動カウント)

 

ほとんどの妊婦さんは、「赤ちゃんを授かった」「赤ちゃんが育っている」と、実感できる瞬間、初めての胎動を心待ちにしています。おそらく妊娠18~25週の間で胎動を感じ始めるでしょう。経産婦は18週頃、初産婦では25週頃になるかもしれません。(胎動の自覚には個人差があり、月経不順で肥満の方では妊娠10ヶ月まで気がつかないこともあります)

 

胎動カウントは重要

はじめは何を感じているのかわからなくても慌てないでください。2~3週間は腸内ガスと胎動を区別することは難しいかもしれませんが、すぐに胎動のパターンに気が付くでしょう。

(”腸のガスが動いた感じ”は、世界の妊婦に共通する最も多い表現です)

 

赤ちゃんが最も活動的なのはいつか? 何が活動を引き起こしているか? 徐々に、赤ちゃんの睡眠と覚醒のサイクルが分かるようになります。

赤ちゃんの動き(胎動)に注意を払うことで、重要な変化に気がつく可能性があります。毎日、決まった時間に赤ちゃんの足キック、シュッとした動き、身体の回転、手腕突きを数えて、赤ちゃんの活発さを確認することは、赤ちゃんの潜在的な問題を認識し、死産を防ぐのに役立ちます。

特にハイリスク妊娠の方にはお勧めしますが、妊娠28週以降の全ての妊婦で胎動カウントは有益です。

一般に、食事や甘い物を食べたり、冷たい物を飲んだり、身体活動をした後に、赤ちゃんが最も活動的になると母親は感じます。午後9時から午前1時の間、あなたの血糖値が下がり、赤ちゃんが活動的と感じるかもしれません。(就眠前に胎動が盛んになる理由は血糖だけではありません)

 

胎動カウントの時間を確保することは、あなたに休養を促し、赤ちゃんとの絆を高めます。

まず、赤ちゃんが最も活動的な時間帯に快適な体位をとりましょう。お腹を腕で抱えて座った姿勢を好むお母さんや、赤ちゃんを調べるために最も快適で効果的な、左向き側臥位を好むお母さんもいます。この左側臥位は、最も良い血液循環をもたらし、赤ちゃんをより活発にさせる可能性があります。 

胎動のカウントの方法 

胎動カウントには様々な方法があり、一定時間内に感じる胎動カウント数も多くの意見があります。アメリカ産婦人科学会では10回胎動カウント法を推奨しています。(キック、ばたつく、シュッと動く、回転するなどの胎動を10回感じるのに必要な時間を計測する方法)

2時間以内に胎動を少なくとも10回感じるのが理想的ですが、おそらく、それより短時間で胎動を10回感じるでしょう。

胎動カウントの記録にはノートや図表を使います。ノートに最初に胎動を感じた時刻を記録し、胎動を感じるごとにチェック(×マーク)を入れ、10回目の胎動の時刻を記録します。これにより胎動パターンを観察し、ふだん、赤ちゃんが10回動くのに必要な時間が分かります。いつものパターンから大きくずれていないか注意しましょう。

胎動カウントを行うたびに慣れて、10回カウント時間の計測は簡単になりますが、日によって、かなりの違いがあります。数日間のパターンから大きく異なっているかどうかが大事です。

胎動カウントの実例(訳者改変)

妊娠28

○月○日 月 PM1000××××××××××PM1032 32

     火 PM1030××××××××××PM10:54 24

     水 PM1110××××××××××PM1131 21

     木 PM1020××××××××××PM1149 29

以下続く

どんな時、医師・助産師に連絡するべきか?

アメリカ産婦人科学会の推奨する方法で、2時間の間に胎動を10回感じない場合は、数時間待って、もう一度行います。もし、2回目の胎動カウントで、2時間以内に10回感じない場合には、担当産科施設に連絡するべきです。

この3~4日のパターンから大きく異なり、胎動を感じない場合、担当産科施設に連絡するべきです。

 

       原文最終更新日201743日   以上訳

 

次回、胎動カウントのチャート記録を紹介します。