現役産科医の視点

生命誕生の現場、産科医の視点から

胎動カウントの実際

胎動カウントは、グラフにすると変化に気がつきやすくなります。

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10回胎動カウントの正常例

はじめは、どんな胎動を1回にカウントするのか迷うかもしれませんが、実際にやってみると難しいことではありません。

目安として、30分以内に胎動が10回と思って始めてみると、数日のうちに10回胎動時間が早い人で2~3分、わかりにくい人でも20分前後に収まるようになります。

よく、経産婦さんが上の子の時と比べて「この子は胎動が激し(おとなし)くて……」とか、「この子は、いつもこの辺りばかり蹴って……」というように、胎動は一人一人違います。10回胎動カウント時間に正常値はありませんが、毎日記録することにより、それぞれの妊婦がいつもの胎動パターンを知ることが重要です。

 

妊娠末期、妊婦1000人に12人の割合でおこる胎児突然死は、妊婦健診や診断装置での予測は難しく、多くの場合、原因の特定もできません。このような少ない頻度で起こる現象の予防には、妊婦が主観的に「いつもの胎動と違う」、「いつもより胎動が鈍い」と感じることが、大事なきっかけになります。

 

10回胎動カウントの方法

ゆったりと落ち着く時間、胎動を感じやすい姿勢

 胎動カウントは、赤ちゃんとの絆を感じる大事な時間です。家事などの用事は済ませ、誰にも邪魔されない時間を確保しましょう。毎日続けると、母親になる幸せを感じる安らぎの時間にもなります。医師や助産師に指示されたから胎動カウントするのではありません

 左下の横向き(左側臥位)やソファーに座るなど、リラックスできる姿勢になります。赤ちゃんの向きや胎盤の位置などの影響で、胎動の感じやすい姿勢は異なりますので、カウント中に胎動を感じやすい姿勢に変えてもかまいません。仰向け姿勢(仰臥位)は、母体低血圧や子宮収縮をおこす方もあり、お勧めできません。

 

34週になったら胎動カウント

アメリカ産婦人科学会は28週からの胎動カウントを勧めていますが、日本では、多くの方が産休に入り、自分の時間を確保しやすい妊娠34週0日からが良い機会です。

 

・最初に動いた時刻から10回動くまでの時間を測ります。

・日によって胎動の強さや感じる位置が変わることは良くあります。

10回動くのに30分以上かかるなら、少し時間(30~60分)を空けて、もう一度測ります。

・胎動カウントを始めようとしたが30分で全く胎動がない、10回動くのに2時間以上かかるなどの場合には、担当産科施設に連絡しましょう。

・胎児しゃっくり様運動は異常ではありませんが、胎動としてはカウントせずに省きます。しゃっくり様運動については別の機会に解説します。

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胎動カウントは役に立つ

20年前に行った10回胎動カウントの検討ですが、1年半の間の分娩数が約3000人で、その間に胎動減少を訴えて来院された方が24人、そのうち2人が胎児心拍数検査の結果、緊急帝王切開となりました。

胎動が心配で来院しても9割以上の方は異常がありません。しかし、もし胎動の異常に気がついていなければ、胎児突然死を起こしていた方もおられたということです。

 

実際に胎動カウントが役に立った例を紹介します。

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10回胎動カウントが役に立った実例

胎動カウントチャートPDF

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