現役医療者の視点

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絶滅危惧種 ホモ・サピエンス・ジャポニカ(仮称)

日本家族計画協会がまとめた「男女の生活と意識に関する調査」で、若い男性のセックス離れが進んでいることが明らかになりましたが、これはとても深刻な問題です。時代や世代の特徴ととらえると大変なことになります。日本人が持続可能性のある民族として生き残るか、絶滅危惧への道を歩むかの岐路にあると言えるかもしれません。

昨年、内閣府が「選択する未来」委員会報告で「人口減少数の将来推計」を示しました。政府の標準人口推計(中位推定)では、50年後の日本の総人口が約8000万人台、100年後が約4000万人台とのことですが、最悪の推定は示されていません。当然、標準人口推計を下振れる可能性もあります。

この報告を元にした政府の国家目標「50年後(2060年代)に人口1億人程度を維持する」は、2030年までに出生率2.07に回復した場合の、かなり希望的な仮定をもとにした試算にすぎず、目標を立てれば実現できると考えること自体に認識の甘さがあります。最悪の事態を推定し対策を始めなければ手遅れになります。

「盛者必衰の理」。源平時代や明治維新の時代には、盛者が衰退しても日本列島の上に同じ日本民族に代わりの勢力がありましたが、20世紀の終わりに、ジャパン・アズ・ナンバーワンとして世界一の繁栄国家を経験した後の盛者必衰、グローバルな時代のオルタナティブは日本人種とは限らないのです。

日本人種が、他種に先行して絶滅への道を歩まないように、知恵を働かすことは可能と思いますが、それは今の少子化対策のような一時しのぎの対策ではありません。「選択する未来」委員会のメンバーは経済界、経済・人文社会系の方ばかりですが、人口問題を経済問題として議論するのはあまりに表面的です。人口問題を経済・政治的問題ととらえては本質を見失うでしょう。

今の時代に適応して生きている人たちには実感できないことかもしれませんが、自然界の雰囲気に敏感で、この時代に違和感を感じている人たちは、すでに予感しているのではないでしょうか?

繁栄の後の、苦難の時代を乗り越えた先に、日本列島に日本人5000万人程度が、持続可能な社会を構築するためのキーワードは「自然の持つ生命力」。政治、経済力、生殖医療などではありません。

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