日本の新型コロナ感染報道では、感染患者数が指数関数的に急速増加する、爆発的な感染拡大のことを「オーバーシュート」と表現していますが、本来の英語としては、アウトブレイクが適しています。
オーバーシュートとアウトブレイクは、本質的に視点が違います。オーバーシュートはある意味、他人ごと、今の日本の状況につながる。
・英語本来のオーバーシュート(overshoot)も、日本で誤用されているオーバーシュートも、横軸が時間のグラフ上での、極端な数値変化を示します。今回の場合は、感染患者の数の増加が注目されていますが、現象を数的・客観的に見る、データアナリスト、湾岸戦争のCNNテレビ報道、クールメディアの視点で、どこか他人事、現場感覚が無い。
・アウトブレイクは《戦争などの》勃発、《伝染病などの》大発生、暴動などの意味ですが、これは実態のある、現場感覚のある言葉です。野戦病院、最前線、戦場カメラマン、現場の人間の体温が感じられる、ホットメディアの視点で、主観的で、臨場感がある。
「新型コロナウイルス感染パンデミックは、人間とウイルスの戦争だ」と表現されますが、
思いつくまま、例を挙げると、 以下
OS的:オーバーシュート(overshoot)的視点
OB的:アウトブレイク (outbreak)的視点
※戦国時代や三国志のPCシュミレーションゲーム
ゲームを操作する人の視点 OS的
戦場で右往左往する足軽の視点 OB的
※太平洋戦争
軍司令部、××方面に兵力○○万人展開と議論する視点 OS的
大岡昇平「野火」の視点 OB的
※映画「プライベートライアン」ノルマンディー上陸作戦
国防総省の大佐の視点 OS的
トムハンクス演じるミラー大尉の視点 OB的
※映画「アウトブレイク」
証拠隠滅のために街の一掃作戦をしようとする軍部の視点 OS的
ダスティンホフマン、ウイルス対策に奮闘する大佐の視点 OB的
※株・為替取引
経済評論家、データアナリストの視点 OS的
現場のトレーダー、投資信託の責任者の視点 OB的
※テレビの情報番組で出てくる、ほとんどのコメンテーター
OS的でも、OB的でもない、ただの野次馬
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OS的視点とOB的視点は、どちらも共に重要で、
客観的(大局的)視点、科学的視点、現場の人間としての視点、いずれも伴っているのが、例えば、ドイツのメルケル首相。