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新型コロナ、妊娠中に母親から胎児へ感染

妊娠中、母親が新型コロナに感染したら胎児も感染する?

妊娠中の母親から胎児へ、新型コロナウイルス感染が確認されています。

(リンク先は興味のある方だけお読みください)

妊娠中の方は不安になりますが、母子感染の可能性はあるものの、頻度はまれで、胎児への影響は少ないようです。

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母子感染の経路には、

  • 妊娠中の経胎盤感染(母体血中→胎盤→胎児)
  • 分娩中の産道感染
  • 出生後の母子間感染

などがあり、新型コロナウイルスでは、いずれの経路でもウイルスが移行することがわかっています。幸い、これまでの知見では、風疹症候群やジカ熱のような、胎児に特別な後遺症を残したという報告はありませんが、もし、妊娠中に新型コロナに感染してしまうと、分娩方法や育児方法が制限されるので、最大限の感染予防が必要です。

2009年新型インフルエンザと2020年新型コロナの比較

 2009年の新型インフルエンザ(H1N1)は、近年では季節性インフルエンザとして、毎年流行していますが、初年度の2009年当時、アメリカでは最初の9ヶ月間に280人の妊婦が重症治療室に入院し、そのうち56人の妊婦が死亡し(アメリカ疾病対策センター報告)、また、感染した妊婦の約30%が早産したと報告されています。

一方、今回の2020年新型コロナ(COVID-19)では、2009年新型インフルエンザと同頻度で妊婦が重症化したという報告はありません。新型コロナも最初の9ヶ月間が過ぎ、新型感染症として比較するなら、妊婦にとっては、今回の新型コロナよりも、2009年新型インフルエンザの方がリスクが高かったといえます。

 

1つ注意があります。まれなことですが、母親がインフルエンザやふつうの風邪にかかった後、ウイルスが原因で子宮内胎児死亡となることがあり、新型コロナでも起こると考えられます。これは、母親の重症度とはあまり関係ありません。

子宮内胎児死亡の最も多い原因は臍帯因子で、次が感染症です。およそ分娩2000~3000件に1例と推測しますが、風邪症状の後、急に胎動を感じにくくなったような場合には早めの受診が必要です。

妊婦は、新型コロナに限らず、感染予防対策としてマスク、手洗い、密を避けることが、特に重要です。